34号 平成20(2008)年 9月3日(水)  広島市立広島工業高等学校 図書委員会
我が輩は猫である  夏目漱石・著(角川文庫)
電気科3年  B

 教科書に夏目漱石の『こころ』が載っており、読んでみました。重たい内容がしっとりと書いてありました。 読みやすそうな内容のものはないかと考えたとき『我が輩は猫である』という題名が思い浮かびました。
 『こころ』は「です・ます」体で書かれており、それが心にしみ入るように書かれていたのですが、『猫』の 方は「だ・である」体です。短い一文が多いのは読みやすい点でした。しかし、なにぶん「明治古典」と呼ばれ ている小説らしく、言葉が古い・漢字が多いなど、取りつきにくい面もありました。「やかん」に「薬缶」と 漢字があることや「星辰」「露光」等の言葉を知りました。
 小説の流れに沿い読み進めていくうちに作品の世界に入り込んでいたことに、「オチ」がわかった時点で気 づきました。これには我ながら驚きうれしくも感じました。
 内容は「猫」目線で書かれており、「猫」の擬人化という発想はどこからきたのだろうと思いました。 (モデルがあるらしいです。)それは人間を客観的に見るという視点でもあり、興味深いものでした。 人間が良かれと思ってやっていることでも、猫の立場からすれば迷惑な事もあるのだと気づきました。
 このようなことを書く漱石は人間をじっくり見ていた小説家なんだなと思いました。人間が好きだったから 書けたのか、嫌いだったからなのかと考えています。
 
ダレン・シャン  ダレン・シャン著(小学館)
環境設備科1年  B

Reader and Book  この小説は、中学1年生のとき図書室で見つけ、表紙の副題「奇怪なサーカス」を見てファンタジー・ ミステリー好きの自分に合う本だとわかりました。全8巻を読破しています。
 第1巻で、主人公ダレン・シャンは日常生活から非日常生活に突然巻き込まれます。第2巻以降、 師となるクレプスリーに見出されバンパイヤーとして生きる術(すべ)を教えてもらいます。 師についてダレン・シャンもサーカスに入ることになりますが、そこで友達ができます。 ヘビ人間と普通の人間のこどもです。「普通の人間のこども」は、何でもありのお話の世界の設定で、 人間以外のものからの視点には関心を引かれました。
 ダレン・シャンがグループのトップになったり、戦争が起きて師が亡くなったりのストーリーが展開し、 大どんでん返しの結末を迎えます。びっくりします。ご存知の方も沢山いらっしゃることでしょう。 ネタバレになるので、ここではこれ以上触れないことにします。
 本当に「怪奇」な話ですが同時にファンタジーでもあり、その中に「情」も描かれています。 初めての人でも一度読んだ方でも、純粋に楽しめる本だと思います。
 
少年探偵 怪奇四十面相  江戸川乱歩・著(ポプラ社)
情報電子科2年  B

 この小説は、シリーズ八作目のものです。「怪人二十面相」対「明智探偵と少年探偵団」の長き闘いが 描かれています。
 この『四十面相』は、二十面相が拘置所に捕らえられているところから始まります。それまでに牢破り を繰り返してきた二十面相ですから、厳重な警戒態勢をとっていました。しかし、二十面相は新聞社に 奇怪な投書をします。
 その内容は「世間では私のことを『二十面相』と呼んでいるが大いに不満だ。私は四十以上の全く違う 顔を持っている。そこで今後は『四十面相』となることにした。改名の手始めに、今まで手がけたことが ないような大事業に取りかかるつもりだ」というものでした。
 その二日後に同じ新聞社に「脱獄する」との投書があり、同日明智探偵が四十面相に面会にやってきます。 明智探偵は、厳しい警戒の中を彼がどうやって投書したかを所長に話しました。四十面相は面会に来た 弁護士の帽子に小さく折りたたんだ投書をはさみ、それを事務所にいる部下が投書していたのでした。
 明智探偵は、四十面相が脱獄する方法もわかったと不思議な笑いをもらします。この「不思議な笑い」 の意味を知りたい方は、是非読んでみてください。半世紀前の時代がわかる話です。
 
週間ベストセラーズ 新書本  紀伊国屋書店
2008年 8月25日〜8月31日

1 悩む力 (かん さんじゅん)
 姜 尚中
 集英社 ¥680
2 野村再生工場 野村克也 角川書店 ¥705
3 おつまみ横町 瀬尾幸子/
 編集工房桃庵
 池田書店(新宿区) ¥1000
4 偽善エコロジー 武田 邦彦 幻冬舎 ¥740
5 仕事で疲れたら、瞑想しよう 藤井義彦 ソフトバンククリエイティブ  ¥730